カフェにおける色彩・素材が利用行動へ与える影響



担当 萩原利衣子 大津葉子 川守梨沙
 室内空間における内装と家具の色彩や素材は意匠的な関わりあいが深く、室の雰囲気を形成するとともに、利用者の気分や行動へ強い影響を与えていると思われる。そのため、特定の目的をもつ空間の内装と家具にはどのようなものが用いられているか、またそれが利用者の行動とどのように関係しているかを知ることは、利用者の意向に合致したよりよい空間づくりにつながるであろう。本研究は、日常的に利用される空間の中でインテリアの配色や素材の選択が多様であり、利用者の属性や行動にも自由度があるものとして、飲食空間であるカフェを取り上げる。そして、カフェで用いられている内装と家具の色彩・素材の特徴を把握するとともに、それらが利用者の行動に与える影響について検討することを目的とする。

 カフェの内装と家具の色彩・素材が印象や利用者の行動に与える影響を把握するため、カフェのシミュレーション画像を用いた評価実験を行った。
 

 

 

 

シミュレーション画像の例
 

 実験の結果から、滞在時間の差と、利用者の年代は、インテリアの評価に強く関わる条件であることが分かった。また、「女性が同性の友達と2人で利用する」「20代の女性が利用しそう」という項目は全ての内装・家具に対して相応しさが高く、「お年寄りが利用しそう」「1人で利用する」という項目は全体的に相応しさが低いという結果となった。お年寄りの利用や、1人での利用に相応しいとされる内装・家具の種別は限られていると考えられる。

 また、内装・家具の色彩は、色彩の持つイメージが行動の相応しさと関わっていることに特徴があり、素材は、イメージとの結びつきだけでなく、動作を制約することが行動の相応しさに関わっていることに特徴があることが分った。