みんなで作るあかり


街路灯は国や自治体や町会の管理下にありますが、街のあかりは家から漏れる窓明かりや玄関灯によっても作られています。これらは人々の意志によって灯されるものです。もし街のあかりを自分たちで作りださなければならなくなったら、意思を持ったあかりが増え、それによって形成される風景は違ったものになるでしょう。


どんな所にあかりがあると自宅の周囲が安全で綺麗になるのかと人が考えて設置すると、街を自分たちの手で作り上げているという意識が生まれ、街に愛着を持つことができるでしょう。こうすることで個性的で楽しげな街並みが作られます。

まわりのあかりを活かす


街には街路灯以外にも、窓明かりや玄関灯、店舗、看板など様々な用途のあかりが存在しています。街路灯だけであかりを賄うのではなく、周囲の環境によってできたあかりを活かすことで街の個性をより強める事ができるのではないでしょうか。既存のあかりの色、強さ、種類によって設置されるべきあかりは変化し、こうして作られたあかりは街に溶け込みやすいです。


しかし、窓明かりや店舗のあかりは夜間点灯し続けている訳ではありません。こういったあかりの消灯を感知して、街路灯の点灯や調光を行うことで効率的に明るさを確保することができます。

街の個性の引き出し方

かたよりのないあかり


屋外で一般的に用いられている高出力のHID 照明は、遠方まで光が届き広範囲を明るく照らしますが、その反面光が遮られるような場所はより暗く感じさせます。これは人間の目の働きが影響しており、目が高い輝度に順応すると、視認できる輝度の闘値が高くなるためである。街全体の明るさの振れ幅を縮めることで感じ取れる風景はより広がります。


夜の街の美しさや楽しさを引きたてるには、あかりを分散させ、暗がりを作らない事が重要となります。建物の隙間や植栽などの暗闇となるボイドを照らすことで、道だけでなく街の形が浮かび上がります。さらに、一つ一つの家や店などが作りだす光を繋いでいく事で、より豊かな夜の街を演出します。

いくつもの役割を担うあかり


道沿いに設置された足元灯は、足元の安全性を高めるという役割の他に、道の形状を示したり、前方への興味を湧かせたり、路上周辺の樹木などに視線を誘導して歩行者を楽しませたり、器具が昼間に目立たないことで景観を壊さないなどという働きをします。

また、住宅の玄関灯はその家の人を出迎えるという役割の他にも、家の前の道路をほのかに照らしたり、人の気配を示すことで近くを歩く人に安心感を与えたり、不審者を遠ざけたりする働きをします。

このように、ひとつひとつのあかりで複数の機能を持たせることをはじめから考慮に入れておけば、街全体としてより効率的なあかりの配置が計画され、あかりを通しての街を楽しむきっかけが増えていくでしょう。

省エネルギーなあかり


燃料資源の不足や地球温暖化、環境汚染等の観点から、省エネルギーの考えに基づいた取り組みが進んでいます。街路空間も例外ではなく、街のあかりを省エネルギーにするため、HIDや白熱電球を効率の良いLED等に付け替える動きが活発化しています。しかしあかりの省エネはランプの交換だけでなく、灯す位置や個数を再検討することで、さらに大幅に実現することができるでしょう。


照度基準に沿った明るい街を作ることでなく、街にとって最適なあかりを必要に応じて作り出すことが、電力削減へと繋がります。