いくつもの役割を担うあかり


緑道の所々に手入れされた花壇がありますが、草花は夜になると暗闇に隠れてしまいます。その花壇を照らすことで、本来が持つ色を表し道を彩ります。このあかりが道に連続することで、奥まで見通せる道がつくられます。また、植栽によってできた暗がりがなくなり防犯面を向上させることもできます。




かたよりのないあかり


独立住宅が並ぶこの道に現存している2つのマンションの玄関灯が、道を明るく照らしています。遠くからでもマンションの明るさを感じられますが、その前後の道が暗くなってしまいます。そこで、マンション付近に配置するあかりの個数を少なくし、その周りの暗がりにあかりを設置する事で極端な明暗の差を減らします。




人の手によって作られるあかり


住宅の庭などの私有地に公共のあかりを配置することで、道と住宅との境界を緩和させます。道を美しく見せるだけでなく、利用者に人の気配や安心感を与えます。住宅と街とが協力して夜の風景を作ることで、個々の特徴が見えるようになり、街への愛着を持つようになるでしょう。

CASE3

●基本項目

所在:東京都目黒区上目黒4丁目

道幅:3m  歴史:蛇崩川を暗渠化した緑道


●現状のあかり

3mほど幅のある緑道の両脇には独立住宅とマンションが連なっており、道からは玄関やテラスなどが間近にある為、道と住宅の双方が互いに影響し合っています。

ポール灯はほとんどなく、1.2mや目線より下の高さの照明が左右所々に設置されており、全体を明るくさせこの道を通る者を楽しませます。人通りはおおく、時折ランニングをする人の姿も見受けられ、住宅から漏れる明かりが優しく通りに賑わいをもたせています。

一つ一つの光が強い為か、両側の植栽に影ができてしまい明るいだけの道になっている所もあるので、夜の緑道をより良くみせる照明を考えていきます。

×…ベンチ …目線下ほどの高さの照明 …1.2Mほどの高さの照明

際立つ教会のあかり

周囲の住宅やマンションの存在

手入れの行き届いた植栽と花いっぱい運動

この道には出入り口を示す大きな樹木があります。これらを下から照らし、樹木のシルエットを際立たせます。こうすることで遠くからでも道の終着点や始まりが見えるようになります。

川の流れを残した道はカーブを描いて伸びています。道のくぼみを照らし、この独特の形状を強調させるような配置をします。 足下を照らすことで、道の形状を認識させて、歩行上の不安を軽減させます。

歩道の左右には植栽が並び、これらを内側から照らすことで、外側の葉だけでなく枝などの影が立体的に表れ植栽を綺麗に見せます。植栽にできる暗がりが減ることで人が潜んでいるのではないかという不安をなくします。


周囲のあかりを活かす


緑道の途中にある教会は、夜にはオレンジの明かりが煉瓦と重なって綺麗に映えています。その周りの植え込みなどをほのかに照らすことで、互いのあかりをより引き立てます。また、道から感じられる窓明かりや玄関灯のあかりを用いて、最低限のあかりを灯すことで人の気配や暖かさを感じられる通りになります。

省エネルギーなあかり


現在この場所では1灯25W、全体で1050W のあかりが設置されています。提案では下記の3種類のあかりを利用することで、全体の消費電力を319.3W に抑えることができます。小さなあかりを適材適所に配置することによって、省エネの実現が可能となります。

光源:LED

消費電力:7.7 w

器具光束:140 lm

光源:LED

消費電力:2.5 w

器具光束:24 lm

光源:LED

消費電力:6 w

器具光束:170 lm

個性を引き出すあかりのCONCEPT

      ①川の流れに応じて緩やかに湾曲した道の形状

      ②左右に植えられた植栽

      ③元々が川沿いだったためテラスや庭などのプライベートな空間が直接道に面している


これら3つの個性を活かしたあかりを提案する。

まがりくねった緑道

この道の個性と現状のあかり

教会のファサードを際立たせる

カーブを強調する

既存の住宅のあかりを活かす

手入れされた花壇を夜もきれいに照らす