落書き防止対策としてのトンネルペインティング
(代々木八幡)
2003.9
代々木八幡の八幡橋下トンネル(全長28m)の壁画制作を研究室で行いました。元々落書き被害がひどいトンネルで、消去しても描かれるという状態でした。2003年9月に壁画制作を依頼された私たちは、「落書きが描かれにくく」、「地元の方に愛着が持たれ、かつ皆さんと共同制作できるような」絵を描くこととしました。描き手と地域が合意して壁画を制作することは、私たちが進めようとしている「リーガル・ウォール」の方向にもつながります。主な経緯を以下に示します。
この活動は全体を通して、NPO法人グループ・ジューン・フィフス(GJ5)と、上原・富ヶ谷地区美化推進委員会のご協力を得ました。
1.落書きされたトンネル(2003年9月撮影)
2. ラフな壁画デザインを研究室で7案制作し、町内会に提示しました(9/11)。その結果、「春の小川」をモチーフにした壁画を制作することになりました。唱歌「春の小川」の舞台は代々木八幡を流れていた河骨川(こうぼねがわ/宇田川の支流)といわれています。
最初に作成したスケッチ。代々木八幡をモチーフにしたものから抽象的なものまでバリエーションあるものを提案しました。
代々木八幡にある「春の小川」の碑。地元の方はこの歌に強い愛着を持たれています。現在は暗渠化された小川をトンネル内に甦らせます。
題材が決定した後に作成したスケッチ。トンネルの長さを生かしたストーリー性のあるものにしようと考えました。また私たちだけで全てのデザインを決定するのではなく、協力していただく住民の方々にデザインしてもらう余地を残そうとしました。小川に棲む魚がそれに当たります。その方が、壁画に対する愛着がわき、長く維持管理していただくことができるのです。
3. 富ヶ谷・富ヶ谷一丁目・上原一丁目の3町会の方々が中心となり、落書き消去を行いました(10/10)。
4. 壁画の制作(10/25-26)。2日目には大勢の小学生を含む地元の方々に参加していただき、予想以上ににぎやかな絵に仕上がりました。大量のペンキは、関西ペイント(株)様より提供していただきました。
1日目(下書きと小川の着色)
2日目。大勢の小学生や、たまたま通りかかった歩行者も参加して一気にペースが上がる。
休憩も取らずひたすら描きつづける。
そしてついに完成。
川の中に棲む様々な生物。落書きされた後の修復しやすさを考え、ペンキは混色せずに原色のまま用いました。
とにかく「暗い」トンネルだったので、思いっきりカラフルにしてみました。
上流から見た様子
下流から見た様子
小林研究室